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[燃えています]明和グラビア会長、大島康弘さん 印刷テーブルクロス日本一

1999.08.19 / NEWS

明和グラビア会長、大島康弘さん(77)

 

大島さんは戦時中、敵の後方かく乱のためニセ札を作らされた印刷のプロ。戦後、平和産業に転換して、学童の弁当を包むビニールふろしきで当て、米国で見たビニールレースの工程を改良して特許を取り、この分野では全国シェア90%。その後も電卓キーの盤面やX線フィルムの番号印刷など、ヒットを出し続けている。コツは「1%のひらめきと99%の努力です」と、エジソンの言葉を借りて。

 

学童用ふろしきから――レース生産の経緯は?

 大島会長 戦時中、陸軍の登戸研究所と呼ばれる特殊な研究所に配属になり、中国紙幣のニセ札を作っていました。経済謀略戦ですが、当時は凹版印刷の技術を学ぶことに懸命でした。戦後、先輩とともに印刷会社を設立。平和利用のためビニールに印刷し、学童の弁当用ふろしきを作りました。その会社は経営上の問題で解散。後継会社のつもりで当社を設立しました。ビニールふろしきは国内向けや東南アジア輸出などで好調だったのですが、将来に不安を感じたので、5年目に米国に行って市場調査。そこで凹版で作ったビニール製の食卓用レースを見かけて「これだ!」と感じたのです。メーカーに掛け合ってなんとか金型工程だけを見学したら、1枚ずつ作る平版方式でした。帰国して、連続製作出来るロール(輪転)式を考案して、レース生産を始めたのです。

 

立体感と複雑さと――ニセ札からレースに?

大島会長 お札は偽造しにくいよう、凹版でインクを盛り上げています。この凹んだ部分に素材を入れて加熱し、固まってから取り出すモールドプリントという技法で、レースの立体感のある複雑な模様を作ったのです。約6年をかけ、製法や周辺特許を取得しました。印刷という成熟産業で後発の中小企業が生き残るのに、特許が頼りなのです。豪勢なレースが安い、というので、ほとんど独占的に売れました。ただし、販売は商社任せ。米国に生産会社を作ったのですが、やはり販売は代理店任せにしたので値段が高く、直販方式の競合メーカーに負け、撤退です。これ以後は国内外とも直販方式に切り替えました。

 

X線、電卓、ケーキ…――その後も続々と開発。

大島会長 印刷で出来そうなことはどんどん相談されるもので……。ある時、歯科医院に行ったらレントゲンの後、誰の歯を撮影したフィルムか、仕分けに手間取っていました。そこでフィルムケースに鉛入りのインクで厚めに番号を印刷、X線を当ててもその番号が感光せずにフィルムに浮き出る方法を開発しました。これは世界中に普及し、シェア100%商品です。また、ある電卓メーカーが初めてキータッチ式を発売した時、普通の印刷では文字盤の数字がかすれるので、特殊印刷で消えない文字盤を作りました。それで電子部品メーカーの仲間入りです。最近では、ケーキ屋さんから「お菓子の表面に文字を書きたい」と相談され、卵白をインクにして立体的な文字を印刷する技術を開発しました。

 

海外では現地の要請で――国際化も現地の要請と?

大島会長 米国では失敗しましたが、インドネシアではまずまずの成果です。当初は印刷工場だけの計画でしたが、すそ野産業が育っていないのでシート工場を造ってくれ、自動車工場を誘致するから座席用のシートを、いや座席全体を、さらにフロントパネルのプラスチック部分も作ってくれ、です。なんと4000人の大工場になりました。コスト節約のため使い慣れた中古機械を持ち込むなど工夫を重ね、好調な運営でしたが、最近の不況と政情不安が足を引っ張りまして……。規模を縮小して今年はようやく黒字化し、ホッと一息です。今後は現地に生産を移管出来る商品を増やして、休職中の従業員に復職してもらえるよう、頑張ります。

 

社内で発明コンテスト――今後の開発方針は。

大島会長 まずは、塩化ビニールに代わる素材の開発。ダイオキシンの発生について、塩ビ業界は「焼却炉のせいだ」と言いますが、現状で誰が悪いと言うより、ポリエチレンやポリプロピレンなどを活用することが必要でしょう。当社は40年ほど前からポリエチレン印刷も手掛けており、対応も着々。新製品では、本業のテーブルクロスから床材、カーテン、窓に張るデザインシートなど、住の分野にも進出しています。研究開発要員30人のほか、デザイナーも抱えて"人に優しい商品"の開発が狙いです。社員には新製品開発の手順を提示、社内コンテストも。簡単なチェック方式で、「作れるか、売れるか、もうかるか」だけ。当社が取得した約300件の特許は、ほとんどが私のアイデアですが、今後は若人に頑張ってもらいます。

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